ヴィーガン(ビーガン)は動物性のものはNGだから、卵も食べないと思っている方もいるかと思います。確かに、多くのヴィーガンは卵は食べません。ですが、アニマルウェルフェア(動物福祉)の考えに基づいて作られている卵ならOKというヴィーガンもだんだん登場しています。
それでは、ヴィーガンが選ぶ卵とはどんなものなのでしょうか?
ストレスから産まれる「ケージ卵」
スーパーの卵売り場を見てみましょう。いろいろな種類がありますが、10個入りで200円前後の卵が目立ちます。1個20円ほど。かなりお安いですね。
こんな低価格の卵は、一体どのように生産されているのでしょうか?
これらの卵は「バタリーケージ飼育」により生産され、「ケージ卵」と呼ばれます。「バタリーケージ飼育」は、鶏(ニワトリ)が大量に卵を産むという目的のためだけに、狭くて暗いケージに、身動きがとれないほどぎっしりと詰め込まれる飼育法です。
ワイヤーでできたケージは、1羽あたり20cm四方という自分の体より小さなスペース。宿り木も砂場も草もなく、体を取り囲むのは金網のみ。体や羽が傷ついたり、金網で足が骨折しても放置されたまま。ストレスから、変な鳴き声を発する鶏もいます。
出典:chang.org
まるで牢獄ですね。この牢獄に入るのは、卵を産むメスだけです。卵を産まないオスは、産まれてすぐに殺処分されます。寿命約10年と言われる鶏ですが、メスさえも、産卵期間が終われば産まれて3年以内には殺処分されます。
他にも鶏の苦しみはたくさんあります。生まれてすぐに大量のワクチンが打たれたり、本来は1年で約20個しか卵を産まないのに、その10倍以上も産むように体をつくり変えられてしまったり。
ヨーロッパでは、これらの動物虐待をすでに禁止しています。アメリカでも州によって禁止。スターバックス、マクドナルド、ウォルマートなどの大企業でも「ケージ卵」の使用は廃止されています。アニマルウェルフェアへの意識の高さを感じます。
日本はというと、少しずつ改善されてきてはいるものの、諸外国と比較するとまだまだ全体的な意識は低く、スーパーに並ぶのは「ケージ卵」ばかりという現実。
それでも、よくよく卵の棚を見てください。目立たないかもしれませんが、6個で400円近い卵を見つけられる場合もあります。少しお高いこれらの卵こそ、ヴィーガンが選ぶ「ケージフリーの卵」です。
のびのびと平飼いされた「ケージフリー卵」
「ケージフリーの卵」とは、太陽の下でのびのびと平飼い・放し飼いされた鶏から産まれる卵のことです。スーパーではほとんどが「平飼いされた鶏の卵」であることがパッケージに記載されています。
ケージ飼育により大量生産された卵と比較すると、ケージフリーの卵は、黄身がぷっくりと盛り上がって弾力があり、白身も生臭さが少なく、しっかりとした自然の味です。
夜は宿り木で眠り、日中は自由に動き回り、卵は物陰に隠れてひっそりと産む。そんな鶏としての本能を叶えることができるのも、ケージフリーの卵の特徴です。
命を尊重し、ストレスフリーな生き方を提供する。まさにアニマルウェルフェアの考え方に沿っているのが、ケージフリーの卵です。コストパフォーマンスを求めない飼育法なため、卵ひとつの価格がお高くなるのも当然ですね。
ちなみに、黄身の色は濃いほうが栄養価が高そうに見えますが、一概にはそうは言えません。パプリカ抽出液で着色されている黄身もあるということを、知っておきたいですね。
あなたが選ぶならどちらの卵?
本日は、わたし達が口にしている卵の現状と、ヴィーガンが選ぶケージフリーの卵をご紹介しました。
ケージフリーの卵を選ぶことは、アニマルウェルフェアを推し進める大きな一歩です。子どものいる方は食育にもなるので、ぜひ、卵を選ぶときの参考にしていただければと思います。
お財布事情もあるし‥‥という場合は、お買い物の3回に1回をケージフリーの卵にするという「買い替え」も大きな一歩につながります!