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最近は季節に関わらず、不安定な天候が続いています。今年8月の関東は前半は毎日雨という異常気象。その後連日30度を超えるなど、急激な気候の変化に身体がついていかないという方も多いのではないでしょうか。また年々、熱中症搬送数も増加していく中、残暑厳しい9月以降も熱中症に気をつけるには、どうしたらいいのでしょうか?
目次 そもそも熱中症とはどんなもの?
最近はニュースでも、10代の救急搬送例もよく耳にするようになった「熱中症」。そもそも熱中症とはどんな現象なのでしょうか。私たちの身体の平熱は36度~37度前後で、肌表面からの熱の放出と、汗の水分蒸発という2つの方法でバランスをとって熱を下げ、維持しています。
熱中症とは、身体の周囲の暑さや熱によってこの仕組みが壊れ、身体から水分や塩分が失われてしまい、身体に熱がたまり、体温が上がってしまうこと。熱中症は眩暈程度の軽度なものもありますが、重度になれば失神や痙攣がおき、命を脅かすこともある軽視できない恐ろしい症状といえます。
救急搬送は5万人以上!熱中症の現状
2016年の5月から9月までの熱中症による救急搬送人員の累計は5万412人!熱中症と病院で診断されたケースは、2013年のデータで約40万人。病院を受診していない軽度の熱中症を含めると、いかに熱中症が多発しているかが予想できます。
また熱中症を経験した方のうち、実に約6割の方が「何度か熱中症になっている」という特徴があります。(株式会社ネオマーケティング2017年6月実施「熱中症に関する調査」より)これは一度熱中症を経験し、それ以降は熱中症対策をしているつもりでも、実はできていない可能性があるとも言えそうです。
では一般的な熱中症対策の「温度管理や水分補給」のほかに、見落としがちな熱中症対策の要因とは、いったい何でしょうか?
湿度に注意!毎日確認したい「WBGT」℃
熱中症対策で意外と見落としがちなのが、「湿度」です!同じ気温でも湿度が高いと不快感が増し、熱中症リスクが高まるといわれています。また屋外ではアスファルトの照り返し、室内では窓からの厳しい日差しなどを受け、気温が測定値の値一定であるとはいえず、気温だけでは熱中症の危険度が判断しにくい現状があります。
そこで現在、熱中症対策として注目されているのが、暑さ指数「WBGT(Wet-bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)」。WBGTはアメリカの海兵隊が、熱中症リスクを判断するために開発した指標。「1:気温・2:湿度・3:日射・輻射」の3つをとりいれたもので国際的に規格化されています。
WBGTも気温と同じように、「℃」で表わされます。日本のガイドラインでは、WBGTが21~25℃=「注意」、25~28℃=「警戒」が必要とされています。WBGTが28℃を超えると熱中症患者が急増するといわれており、特に注意が必要です。レジャーなどの際は特に、全国のWBGT実測値と予測値が掲載されている、環境省「熱中症予防サイト」を確認し、熱中症予防に役立てたいですね。
子供と高齢者はなぜ熱中症になりやすいの?
またWBGTを確認した上でさらに注意したいのが、熱中症になりやすい子供と高齢者です。
子供は体重に対して皮膚などの身体の表面面積が大きく、その分身体が熱しやすくなっています。また汗腺が十分発達していないので、環境にあわせた体温調節がうまくいきません。そして、子供の身長は大人よりも低いため、地面からの熱により強くさらされることになり、熱中症になりやすいのです。
また熱中症救急搬送数のうち、半数を占めるのが高齢者。年齢を重ねるにつれ、暑さを感じづらくなり、体温を調節する機能と汗腺が衰え、身体の熱が下がりにくくなっているためです。また体の水分量も減少しているので、汗をかいて脱水状態になってしまい、熱中症の症状があらわれます。
子供と高齢者は、適切な気温と湿度を保つようにした上で、水分補給をいかにうまくできるかが、重要な熱中症対策の鍵になってくるといえますが、ただお水を飲めばいいという訳ではありません。汗をなめてみると塩辛い味がしますが、これは汗から塩分=ナトリウムなどの電解質が一緒に流れ出ているため。
この状態でお水だけを飲むと、身体が塩分の値を維持しようと、お水だけを排出しようとし、結果お水だけが尿となって排出されてしまいます。脱水症状対策の水分補給には、お水と塩分を同時に摂らなければ意味がないのです!
熱中症対策のベストな水分補給飲料とは?
塩分と水分をあわせて摂るのに、多くの方がすぐに思い浮かぶのがスポーツドリンクだと思います。通常の運動や汗を流した後の水分補給の場合はスポーツドリンクでもよいのですが、スポーツドリンクは総じて甘く感じられるように、塩分が少なく糖分が多い飲料。熱中症気味かなという時や、熱中症対策をしっかりしなければならない環境には向きません。
熱中症対策にベストな飲料は、ドラッグストアやスーパーの飲料売り場などで見かける、塩分と水分が適切に配合された「経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)」です。経口補水液は水分や電解質をカラダに素早く補給できるよう設計された、熱中症対策にはうってつけの飲料なのです!
この水分の吸収効率の速さについては、既に動物実験などを通じて証明されていますが、今回は水分保持力に関するヒトを対象にした検証実験を、済生会横浜市東部病院 周術期支援センター長/栄養部部長の谷口先生監修の元で行っています。
被験者は20~30歳代の健康な男性6名(BMI20~24)で、経口補水液と麦茶をそれぞれ1リットル摂取した際の体内水分量と体重の変化を30分間隔で120分後まで計測しました。
▲図 水分摂取時の体水分量変化
▲図 水分摂取時の体重変化
試験を監修された谷口先生は、「経口補水液は水分保持力、つまり水分を長時間体内に貯めておく力が高いことが分かります。1、2時間経っても水分が保持されているという今回の結果は大変興味深い。この経口補水液の高い水分保持力はナトリウムによって生み出される浸透圧のはたらきと考えられる。したがってナトリウムが含まれていない麦茶は水分保持力が弱く、飲んでも体外に排出される量が多くなった」とコメントされています。
どう選ぶ?経口補水液の「選び方」経口補水液といっても、配合されている塩分濃度がそれぞれ異なる、色々な種類のものがあります。谷口英喜先生監修、「活動強度に応じた水分補給手段の選び方」がこちらの表です。
熱中症を引き起こしそうな時、または熱中症になってしまった時は、塩分濃度が高めのものを飲むのが効果的です。運動の前後や、少し暑い日のレジャーの際などは、塩分濃度が低めのものを摂るのが理想的といえます。
また「経口補水液」を実際に飲んだことのある方は、塩辛く甘みが少ないので、おいしく感じられないと思われると思います。緊急時には全く問題ありませんが、日常的な熱中症対策として飲む場合は、おいしさも必要ですよね。
塩分が低めの経口補水液は、塩分が少ない分、しょっぱさも軽減され、味も美味しく作られていることが多いので、ぜひシーンによって飲み分けて効果的に摂取してもらえればと思います。
9月に入っても気を抜かず、WBGTをチェックし、「経口補水液」の力を借りて、熱中症を恐れることなく秋のレジャーや運動に赴いてみてはいかがでしょうか?
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